前回は、脳科学者の茂木健一郎さんの脳科学から見たフロー状態について記事にしました。
今回は、スポーツに落とし込んだ時の具体的なフロー、東洋的表現なら禅定、三昧への入り方をスポーツ心理学の観点から見てみました。
前回の補足ですが、ゾーンはフロー状態が更に進んだ、究極の集中状態の事で、フローになると時間を忘れるが、時間が逆流する状態になるそうですが、後々、書いていきます。
動画の内容を私なりにまとめてみました。
1,内発的に自分が楽しいからやる。
動機付けには2種類あり、内発的動機づけと外発的動機付けがあり。内発的動機付けとは、外側からの報酬や評価、他人との比較ではなく、自分が楽しいからやる。今の言葉で言えば自分軸でやること。対して、外発的動機付けとは、逆で、報酬や評価、他人との比較、勝敗を動機にすること。今の言葉では他人軸になります。自分軸で、楽しさをベースに行えという事です。
2,勝敗に左右されない。
動機が自分の外側の勝敗に囚われると、集中状態に入れないという事。要するに、自分が消えるくらいの集中状態になれないという事でしょう。
3,意図ある具体的な目標を持つ。
目標は、細かく刻んで、具体的な行動に落とし込めばフィードバックが早くなり、今やることだけに集中できます。これには、稽古ノートを付けることを強くお勧めします。合気道の稽古方法は、指導者がお手本を見せてそれを稽古する形式です。具体的な目標がないと、どうしても指導者のやっている事だけをやって、それで終わりになります。計画、実行、フィードバックのサイクルを回すと、格段に集中力が増し、時間の質が全く違います。では、指導者と違うことをやるのかと言うと、それは違っていて、基本と言われるものはどの技にも共通しているので、全ての稽古に応用できます。
例えば、今、私が具体的な目標としているのは、強く柔らかい足腰を作り、その上に大きく伸びのある直立した自由の利く上半身を乗せるです。具体的にやることは、下半身のウエイトトレーニングで筋力をつけ、相撲の稽古方法、四股、すり足で柔らかい足腰を作り、上半身は軸を立て、大きくのびのびと使い、入り身投げのように力を体の中心部に集める体の動きと、逆に呼吸投げのように、力を中心部から外側に放つような動きの体感を磨いています。強く柔らかい足腰、のびのびと大きく動く、力を中心部に集める、外側に放つ、どんな稽古にも応用できます。そして、一人稽古や道場稽古で実行して、感じたことを言葉にしてフィードバックすると、新たな課題に気付けますし、変な言い方ですが、課題が降ってきます。
「美しい体操」「究極の滑り」も外部からの報酬や評価、勝敗、比較とは違った絶対的な無条件な動機付けになります。そんな心の状態、無分別心の時にピークパフォーマンスが発揮されるという事でしょう。そして、そのフロー状態、禅定、没頭は人生の幸福度を高めます。
私たちのやっている合気道は、現役とか引退とかありませんから、56歳でも、幾つになっても心の集中状態を研ぎ澄ます稽古が出来、幸福度を高め続けることができます。合気道は「行」だと私が思っている所以です。「私達は、宝の山にいるんだ」と最近、良く感じます。
Comments